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PS2アーカイブス

スペシャルインタビュー「剣豪2」最終回

2014年4月
元気株式会社ではPS2アーカイブスでのタイトル販売を始めます。

2000年代、元気では16タイトルのPlayStation(R) 2のソフトウェアをリリースしました。
そのタイトルのうちいくつかをPS2アーカイブスで再販売いたします。
そしてそのタイトルに合わせ、開発者や営業担当などの昔話を連載記事に仕立ててみることにしました。

途中で方針が変わるかもしれませんが、それはそれでご容赦ください。
また、リリースしてほしいタイトルありましたら、元気公式twitterアカウント「@Genki_official」までご連絡ください。
中の人(はまち)が時折ツイートしてみますね。

剣豪2

剣豪2

■発売日 2002年6月27日
■ジャンル 剣術アクション
■著作権表記
(C)2000 GENKI/CRAVE (C)2002 GENKI
■ゲーム概要
剣士を育てて剣豪に!
「宮本武蔵」「坂本龍馬」を始め、「近藤勇」「柳生十兵衛」など歴史に名だたる剣士が約30人も登場する、人気剣術アクションの続編です。 1対多人数の戦いが加わり、戦闘も多彩になりました。キャラクターデザインは寺田克也氏です。

PS2アーカイブス

■発売日 2014年10月15日
■販売価格 1,200円(税込)
■URL 商品紹介 : PlayStation.com
販売ページ:SENオンラインストア

スタッフ/小林
■元気株式会社:プランナー
■経歴:
「剣豪」に続き2回目の登場。 元気でリリースした「剣豪シリーズ」の他、
ニンテンドーDS「馬主ライフゲーム ウィナーズサークル」のディレクターも歴任。 現在はPS事業部に在籍。

インタビュアー:はまち
■元気株式会社:なりゆきで広報
■経歴:
元気のゲーム事業部でなんかいろんなことをしてる人。元番組制作会社のAD。元本屋さん。元ゲーム屋さん。
元気公式twitterアカウントでおもいついたことをツイートしてます。

剣豪2の戦闘システムについてうかがいましたよ

はまち:
わりと脱線しましたが・・・・・いやー剣豪2。・・・・・売れるかなっ?
小林:
剣豪2・・・・あ、そういえば一番大事な話をしてないですよ!
はまち:
ほう、なんでしょう。
小林:
剣豪シリーズといえば形編集でしょう。
はまち:
おお!
小林:
剣豪2は世界観とかゲームの基本的な部分はYさんが担当してたって話しましたよね。
で、ゲームの戦闘システムは全部ワタシが担当していたんですね。
はまち:
なるほど。
小林:
そこでどうやってゲーム性をもたせるかっていう点で、剣豪1では純粋なアクションとして、動作後の硬直であったり隙をどう見つけて戦うかっていうゲームだったんです。
はまち:
はい、そう伺いました。
小林:
もともと剣術の設定自体が先に手を出さない方が有利っていうのがあって、相手の動きの中の隙に自分が攻撃をしてとどめを刺す一撃必殺みたいなのがあったんで、剣豪におけるアクションはそういう形になってたんですけど、それには限界があると感じたんです。
はまち:
なるほど。限界ですか。
小林:
昔からある打撃系のゲームのように、防御して、隙をついて相手に攻撃するみたいなそういうものにしかならないので。それだと、戦術性が無いというのが不満だったんです。
はまち:
そこに限界があったんですね。
小林:
それを克服できないかなぁというところで、漠然と剣術とはなんぞやというところから本を読んだり勉強したり小説や映画をみていたんです。その中で、小野派一刀流とか実在の道場の話が出てきて、そこでも剣術や形とか調べだしてたんです。
はまち:
ほう。
小林:
そしたら社内に剣術に詳しいプランナーが居たんです。話を聞いてみたところ「組太刀」というものがあると。
はまち:
組太刀ですか。
小林:
ま、組太刀はもともと要素としてあったので、そこから話を聞いていったんです。そしたら「なんか、相手の技を受け流す」みたいなことを言い出したんですね。
はまち:
はいはい。
小林:
剣豪2でいう「待(たい)」なんですけどね。待の理論がそこで出てきてて、「なにそれ?」って興味を持ったんです。「たしかに、相手の技をいなすとか受け流すとか結構聞くよね」って話になって、「それが『形』として各流派の技として成立している」と知って、「なるほど、それオイシイじゃん」って思ったんです。そこでいろいろと他にどんなものがあるのか調べ始めたんですね。
はまち:
ははぁー。
小林:
さらにその人からも話を掘り下げていったら、「なんだこれ、いっぱいできそうじゃん」って思ったんです。
はまち:
発展してますねぇ。
小林:
で、もともと剣豪2では「形」を充実させようって話があったんです。どのように充実させようかってなった時に、剣豪では形を編集して自分の好きな技がプリセットできるだけでしかなかったんですけど。剣豪2に関してはいろんな技を持って好きな時に好きな技が出せるようにしたいよねって。それでそれを「形」という名前にしようとしたんです。
はまち:
なるほど。
小林:
開発当初での「形」は攻撃と防御しかなかったんですよ。それだと限界があるよなぁと悩みつつゲームとして成り立つものができないかなぁと調べていったところに、まぁいいものが落ちていたという感触ですね。

「待(たい)」が決まると相手は死に体となるため攻撃の大きなチャンスに。

オリジナルシステム誕生の瞬間について聞いてみましたよ

はまち:
そしてそれを表に落とし込んでみたと。
小林:
表みたいにセットできるのは最初からあったんですけど、これまでは攻と防御だけだったんです。攻が8つと防御が2つみたいな形表でしかなかったんですけど、いなすとか、受け流すとか聞いた瞬間に(どう実装しようかと)ワクワクしてしまいましたね。
はまち:
受け流してから、相手が泳いでいるところを切りつけるというのは非常に有効なゲーム性ですよね。
小林:
そうそうそう。その時にものすごく映画を見たんです。黒澤映画とか、真剣を使うチャンバラではない時代劇の映画とか。すると、相手を崩した状態で切るというのが演出的には多かったんです。
そういうのを考えた時、(演出として)非常に面白いし、実際の剣術でも採用されている動きになっているので「それはなんていう名前なの?」とプランナーに聞いたら「待(たい)っていうんですよ」って。「待・・・・・・あぁ、待つのね。あ、待って相手の攻撃を受け止めて、相手を死に体にするのね。」って理解したんです。でもそこで考えていくと、「待てよ、どんどん待が最強になるなぁと。」と。もともと待最強なのに。
はまち:
そうですね。
小林:
「待、最強にしたくないなぁ・・・・・どうしよう。なんか待ってるやつを崩せるような技ないのかなぁ」というんでさらにいろいろ話を聞いたりしたんですね。その人に。そうしたら、「いわゆる、フェイントを使います。」と。
はまち:
なるほど。
小林:
「フェイント?」って聞き返したら、「ピクッって動くんです。」っていうんで。
一同:
(笑)
小林:
「ピクッって動くんだー・・・・・・え?そうすっとどうなるの?」って聞いたら「ピクッって動くと、相手が弱いやつだったら、あせって刀振っちゃうんですよ。」っていうんでそのときに「使える!」って思ったんです。
あと気になっていたのが、「相手の攻撃を受けて崩すだけじゃなくて、当然お互い待になる訳だからお互い防御しちゃうんじゃない?防御を崩す技はないの?」って聞いたら「打ち込んで崩すことはあります」っていうんです。
はまち:
あーなるほど。
小林:
「打ち込む時って、斬るためじゃなくて相手の防御を崩すために打ち込むから、たぶん本気で斬りに来てる時とは違うよね」って話したら「あ、それはそうですね」って言うんです。
はまち:
ま、勢いが違いますもんね。
小林:
「じゃー防御してる相手とか、構えて動かない相手を崩す技もあるんだ。」って気づいてから調べていったら、そういう技がいくつかあるんですよ。・・・・・じゃ-あとは作るか!っていって技を作っていったんです。
はまち:
そうして出来上がったのが「懸(けん)」だったんですね。
小林:
そうなんです。攻撃にいくのか、相手の攻撃を受け流す待でいくのか、それとも動かない相手を崩しにこちらからいくのかという三すくみが出来上がったんですね。
崩しに行ったときには本気で刀を振っていないわけだから、相手が本気で振ってきたら防御できない、耐えられない、避けられないよねって細部を詰めていって、それでそのプランナーも納得して、懸・待・攻のシステムができたんです。
はまち:
これが、そのまま「風雲新撰組」になっていくわけですね。ということでいうとその発想自体は、剣術を知っているプランナーが居て、その話を突き詰めていって生まれたという事なんですね。
小林:
もちろんそうです。その人がいたことはすごくプラスです。私はもともとはチャンバラ主流の時代劇はあまり好きではなく興味もなかったので、その人が居なかったら本当の剣術にどういう戦い方があるのか知らなかったと思います。
出てきた案件をどういう風に面白くするかについて、この情報は本当にありがたかったですね。このシステムはかなり評価高かったですし。
はまち:
そうですね。「風雲 新撰組」でもこれ自体がいいシステムだから使おうとすんなり通ったとのことですし。
小林:
ワタシの長年のゲーム開発の中でも一番のヒットシステムですから。

「形」の編集画面。

相手の構えによって発動する技が変わるため戦略性が求められます。

地道な努力が勝敗を分けるようです

はまち:
懸・待・攻って剣豪2からなんですね。
小林:
そうです。やっぱりリアリティ大事だよねって気づきました。
昔、レースゲームを他社で作っていた時、いろんな人から「レースゲームのコースってどうするの?」って聞かれて。「オリジナルのコースって作るの難しいですよね」とか、「コース作ったとしてもバランスとか面白さとかって表現できるんですか?」って開発者が結構いたんですよ。
はまち:
オリジナルは難しいですね。たしかに。
小林:
で、そういう人に出した答えは「ちゃんとリアリティのあるレースゲームが作れて、ちゃんと車の挙動がレースに近いモノとしてある程度シミュレートできた状態でゲームを作ってあげれば、コースっていうのは実在のコースを作れば絶対に面白いよ」って言いきったんです。
はまち:
ほほう。
小林:
じゃないとそんなコース作る訳ないですからね。
どこまで形を簡略化して遊びのために作るのかっていうのは先人が作ってきたものは理にかなっているものが多いはずなので、それをどう生かしていくかってことだと思います。
はまち:
なるほど、身近に知ってる人がいて、それに対する疑問点があってそういうときどうなの?っていう発想があって、それに答えられる能力を持っている人がいたからできたんですね。
小林:
そうです。
はまち:
それは面白いなぁ。
小林:
それは私の中でも貴重な体験でした。ここまでハマったことは無いので。完全にこのゲームで「来た!」って思いましたし。
はまち:
実際にゲームをプレイしている人を見ても顕著ですよね。
小林:
そうそうそう。
はまち:
本当に待つ人と、懸でガンガン仕掛けていく人と、とりあえず攻撃する人と・・・・本当に性格が出る。
小林:
見てて面白いですよー。実際にシステムがはまってましたよね。ワタシが剣豪を作って、2の時にシステムが出来上がって、ユーザーの大会とかでもその志向が出て戦いが成り立っていたんで。プレイスタイルがゲームに映し出されてましたから。
はまち:
で、待ってるヤツは本気で待ってるから迂闊に攻撃できないじゃないですか。
小林:
そう、そうなんですよ。
はまち:
だけど、それを打破しようと懸をかけたりする、そこのタイミングでまた熱い攻防が生まれるという意味では剣術がゲームになった瞬間だなと思いました。
小林:
そういう意味では、アクションゲームの完成度でいえば2が一番高いです。私の中では極まった感じがあるので。
はまち:
なるほど。
小林:
余分なものが無く、本当に必要なモノだけで構成されたアクションになってるので。今、遊んだとしても戦闘シーンは剣豪2がシリーズで一番面白いと思います。
なんで、剣術を純粋に遊んでほしいゲームですね。
はまち:
じゃーわりと毎度毎度どう遊んでほしいか聞くんですけど、答えは見えていますね。
小林:
そうですね。
はまち:
剣術を遊べと!
小林:
あとは如何にして形を編集して、いろんな戦いでも対応できるものを作るのか、それとも対戦したい相手の傾向を考えて形を作って戦いに臨むかでしょうね。
事前にどれだけ準備ができて、実際の戦いでどういうアクションができるかってところですね。

こちらの小次郎さんは事前準備と戦略が及ばずだったようです。

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